ピート・スウェルツ60歳の誕生日に寄せて

本日2020年11月14日は、ベルギーの作曲家・ピアニストのピート・スウェルツ(1960*)の60歳のお誕生日でした。
私のお気に入り作曲家の1人です。

私がスウェルツの存在を知ったのはおそらく今年の1月ごろ。
今年の初めごろにベルギーのレーベルPhaedraからリリースされている“In Flanders’ Fields”シリーズを1日1枚聴くというよくわからんキャンペーンをしていたのですが(本当はまだコンプリート出来てないんだけどサブスクで聴けない分を全く聴けていない)、その時に彼の交響曲第2番を聴いたのが多分最初の出会い。

交響曲、正直長いし、同シリーズに収録されてる他の作品もちょっとモダンで難しめの曲が多くて、はじめはあまりピンときていませんでした。ちょっと好きだなと思ったのは下のオラトリオかな。

「あ、この人の曲、面白いぞ!」と思ったのは、吹奏楽曲「マルテニッツァ」を聴いた時のこと。前にブログでも書いたな→【CDレビュー】Made in Belgium

リズム感というか、独特なビートを感じるんですよね…。同じような傾向がピアノ協奏曲「ウイングス」や、ブラスバンド曲「チェイン」でも顕著だと感じます。この2曲やマルテニッツァは本当によく頭に残る曲で、中毒性も高くて、1度聴いたらしばらく脳内リピート決定です。是非聴いてみてほしいですね~。


↑この「チェイン」はファンファーレバンド版。EBBC(欧州ブラスバンド選手権大会)2002年の課題曲でした。シロフォンがえげつない

 

そしてスウェルツにさらにのめりこんだのは今年4月ごろ、Covid-19流行下で世界各地でロックダウンが行われていた時のこと。
ロックダウンは彼が住むベルギーでも例外ではなかったのですが、そんな中、スウェルツは毎日夜8:00(現地時間)にFacebookでピアノリサイタル配信を行ってくれていたのです。
向こうの夜8時はこちらの丑三つ時なのでほとんどリアルタイムでは聴けませんでしたが、毎朝出かける準備をしながらアーカイブを聴いていました。休日や夜勤中はたまにリアルタイムで聴けることもありましたね…。現在はほとんどアーカイブが削除されてしまったのが残念です。

ピアノ曲は本当に疎いも疎いので限りなく何となく聴いていましたが、毎日のプログラムの告知や配信の様子から、スウェルツの気さくでお茶目な人柄が垣間見えて、そのころから追っかけずにはいられなくなっていました。リサイタル毎日配信の最後の方には、彼のピアノソナタ“Insight your Inside”をフルで配信してくれたりもしました(24曲ある)。

 

あと、今年頭ごろ?に初演された、クラリネット5重奏+ピアノのための“Le Bestiaire”のアルバムが最近リリースされました。サン=サーンスの「動物の謝肉祭」クラ5版も同時収録。“Insight your Inside”のときに感じたようなおしゃれさが表れていてとても楽しいです。既存のクラシック音楽のパロディも得意だなあと思いますね~。

 

そしてこんな疫病が蔓延する中ですが、今年9月にスウェルツの交響曲第3番「ヤカラ」が初演されました。
輩!?と思っちゃいますが、この「ヤカラ(Yakara)」はスウェルツの故郷・トンヘレン(リンブルフ州)を流れる「イェーケル川(Jaker)」という川の古い名前なんだそうです。
まだ動画やCDで全曲を聴くことはできないのですが、ティーザー動画で最後の部分がちょっと聴けます。これだけでも旋律が本当に綺麗で、全曲を聴くのが楽しみで仕方ありません。喋っているハンサムおじさんがスウェルツ。

初演前に公開されたインタビュー動画にも交響曲の断片が使われています。語りはオランダ語ですが…

早く全曲聴けないかな~と言っていたら、スウェルツの誕生日に合わせて、ベルギーのラジオで「ヤカラ」が全曲公開されることを知りました。このラジオ、Klaraというクラシック音楽専門のラジオなのですが、なんとアプリを使って日本からも聴くことができてしまいます。
放送は現地時間14日夜8時。日本時間15日早朝4時…。明日は何としてでも頑張って起きます。

 

本来であれば今日、ベルギーではスウェルツの誕生日コンサートが開催される予定だったようなのですが、新型コロナウイルス再拡大の影響で来年に延期になってしまいました。来年になれば本当に状況が改善するのか、まったく先が見えません。できることならよくなっていてほしい、と祈るばかりです。

花月こころ

ベルギー近現代音楽が主な狩場。最推しはヴァンデルローストとポール・ジルソン。ブラスバンドでコルネット。

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