MUSICA PER ARCHI – 20世紀作曲家の弦楽作品集

2か月ぶりの更新となってしまいました。お久しぶりです。

パンデミック以降半年近く、結局演奏会には全く足を運べずにいます。そもそもチケットが買えないとか、日程が合わないとか(今月末のシエナウインドの演奏会の日もうっかり仕事入れちゃったし…)。本来このブログの主なコンテンツは演奏会レビューのはずなので、モチベーションが危機です。またテンションおかしい長文書きたい。

 

仕方がないのでCDレビューとかでつなぎます。
先週ベルギーからCDが2枚届いたので、そのうち1枚をご紹介します(残念ながら廃盤在庫限り!)。

“MUSICA PER ARCHI”つまりは「弦楽のための音楽」。
演奏はフランデレンの室内オーケストラ「シンフォニア」、ディルク・フェルミューレン指揮。

収録作品は以下。

ヨゼフ・スーク「弦楽セレナーデ」
ホアキン・トゥリーナ「闘牛士の祈り」
ベンジャミン・ブリテン「シンプル・シンフォニー」
ウィレム・ケルステルス「3つのバガテル」
ヤン・ヴァンデルロースト「弦楽のために」

 

このブログにたどり着いてくれる方々がどういう層なのかよくわかっていないのですが、知ってる/知らない作曲家は何人いたでしょうか…。私はブリテンとヴァンデルローストはもともと知ってて、スークは昨年末、ケルステルスは今年頭に知って、トゥリーナはこのCDで初めて知りました。この記事を読んでくれてる方は知ってる作曲家が多いのかな。
わたしのお目当てはヴァンデルロースト…の作曲の先生であるウィレム・ケルステルスの作品。彼の作品は配信音源がほとんどなく(1曲だけ?)、タワレコで検索してやっとヒットしたのがこの1枚でした。しかも師弟で収録されてるとなれば手に入れなければなるまい。2月ごろに1度お取り寄せチャレンジしたのですが失敗し(メーカー在庫切れ…)、裏ルート(Discogs)でなんとか新品を手に入れました。多分Discogsあたりならまだ出回っていると思います。

 
前半3曲はそこそこ~超知られてる作品だと思うのでさっと書きます。

ヨゼフ・スーク(Josef Suk, 1874-1935)はチェコの作曲家。同じくチェコの作曲家、ドヴォルジャークの弟子で娘婿。昨年末、友人の演奏会でスークの「おとぎ話」という曲を聴く機会があって、初めて名前を知りました。
「弦楽セレナーデ」は軽やかで、穏やかで、聴いていて心がウキウキしてきますね…。演奏会の1番初めに聴きたいような曲です。個人的には第2楽章の盛り上がるところとか、第4楽章の静かな場面で低音がゴリゴリ聞こえてくるのとか好きです。野蛮な弦の音が好きなので…。

 

ホアキン・トゥリーナ(Joaquín Turina, 1882-1949)はスペインの作曲家。「闘牛士の祈り」は「祈り」らしい静かで内省的な雰囲気もありながら、ステップを踏んでいるような舞曲っぽい要素も積極的に使われています。弦楽合奏版の他に弦楽四重奏版やマンドリン四重奏版もあるみたいです。マンドリン版がオリジナルなのかな?

 

ベンジャミン・ブリテン(Benjamin Britten, 1913-1976)はイギリスの作曲家。「シンプルシンフォニー」はメジャー作曲家のメジャー作品なので、こんなところでグダグダ書くよりもググってYouTubeで聴いてくれ、って言ったほうが早い気がする…
実は今回初めて真面目に聴きました。遊び心ありつつも気品が漂ってていいなあと思います。第2楽章も好きですが第4楽章の情熱的な舞曲みたいな音楽がとても好みです。

 

ウィレム・ケルステルス(Willem Kersters, 1929-1998)はベルギーの作曲家。ど、どマイナー作曲家…。私もヴァンデルローストが絡まなかったら一生知らなかった自信ある(というかケルステルスの存在を知ってベルギー音楽沼にズブズブはまっていった)。配信音源どころか全体的に音源が入手困難で、あってもCD化されてない(LPしかない)場合がほとんど。いくつかYouTubeにも転がってますが…。
画像検索するとほとんどの写真でパイプをくわえています。ヘビースモーカーだったのかしら。
「3つのバガテル」は「バガテル(小品)」とついている通り、非常に短い作品。6/8拍子の躍動感あふれる舞曲のような第1楽章、しっとりと仄暗い雰囲気の第2楽章、荒々しく疾走感あるパートと叙情的なパートの急-緩-急構成の第3楽章。私はケルステルスのリズミカルな曲調がすきかなー。

話は逸れるんですが、ケルステルスはコンサートバンドやブラスバンドのための作品も書いていたらしく、早くこのブログでもご紹介したいと思っているところです。今のところ音源も楽譜も見つけてないですが。

 

ヤン・ヴァンデルロースト(Jan Van der Roost, *1956)はベルギーの作曲家。アントウェルペン王立音楽院でケルステルスに作曲を師事していました(敢えてこんな書き方をする)。
まずCDの曲順を見て、「推しの推し曲がトリ飾ってる!!わーーい!!!」と喜びました。ヴァンデルローストの「弦楽のために」、本当にめちゃめちゃ大好きな曲です。今でこそ世界的吹奏楽の大家って感じのヤンさんですが、実は1983年、初めて委嘱を受けて書いた曲がこの「弦楽のために」だったりします(出典:マイルストーンズ(de haske,2016)ライナーノーツ)。前半の”Lento e mesto”、ロマンティックで夢心地なパートはブリテンへのオマージュ、後半の”Allegro con brio”、リズミカルで快活なパートはバルトークへのオマージュとなっています。本当にめちゃめちゃ大好きなので(2回目)、ヤンさんもう1回弦楽合奏作品書いてくれないだろうかと期待しています。誰か委嘱して。
このCDと同じ録音は、ヴァンデルローストの室内楽作品集”Colori”(Aliud Records)にも収録されています。タワレコでもお取り寄せできますし、

Apple Musicや

Youtubeや

Spotifyでも聴けます。

アルバムごと埋め込んじゃったけど別に1曲だけでよかったな…まあいいや全部聴いてくれ。このアルバムのなかでは”Canti d’Amore”(バリトン歌手と室内管弦楽のための歌曲)が1番好きです。

 

選曲も構成もとてもいいアルバムなので、せめて配信だけでもしてくれないかなあ…と思いますね。レーベル(Eufoda)は今活動してないみたいなんですが、母体組織(Davidfonds)は現存しているようなので…

花月こころ

ベルギー近現代音楽が主な狩場。最推しはヴァンデルローストとポール・ジルソン。ブラスバンドでコルネット。

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1件のコメント

  1. Nice review… thank you… I have this CD…. greetings from the Philippines… I autotranslated your blog into english…

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