葛藤の末聴きに行った演奏会がとても楽しかった【fm*8th】
fanfaria musica* 8th @豊中市立文化芸術センター
2019/10/05(土)18:00-20:30
今年の初めごろに、
「今年はfanfaria musica*の演奏会に行くぞ!」
と、密かに意気込んでいた筆者。
fanfaria musica*は、関西で活動しているアマチュアのファンファーレオルケスト。
年に1回、有志を募って定期演奏会を行っており、今年の演奏会で8回目を迎えました。
公式サイトはこちら(過去の演奏会情報など)↓
fanfaria musica*
しかし、ただでさえ9月にはオオサカンの演奏会もあるのに、そんなに頻繁に大阪遠征なんてできないと、夏ごろにはすっかり諦めていました。
同日の池袋の演奏会に行ってお勉強してこようかな、みたいな。
それでも、演奏会が近づくにつれて、宣伝のツイートをタイムライン上で見かけるたびに
「ああ、やっぱり聴きに行きたい!!どうしよう!!」
と、大きくなる煩悩。どうしよう。
ふと、筆者は気付いたのです。
「アメリカ行ったときのJALマイル使えるんじゃないか…?」
今年の夏にアメリカに行ったとき、手配してもらった飛行機がJALだったので、6,000マイル…羽田⇔大阪間の片道分…が貯まっていました。
行けるかも。
「いや!!でも帰りはどっちにしろ夜行バスだから!帰りのバス代と池袋の演奏会(U25割)の差額でCD1枚買えるし!無理無理!」
そこで池袋のチケットを買っておけばいいものを、買わないんですよこいつ。未練たらたらだから。
迷いに迷って葛藤の末、
「これはfm*聴きに行かないと気が済まない奴だな」と結論付け、
行きの飛行機と帰りの高速バスの予約をしました。
翌日に今月のカード請求額を見て泣いているのですが。
開場時間の少し前にホールに到着。
あれ、客層が思ってたのと違う!
なんか、めっちゃローカルだ!
おじいちゃんおばあちゃんも、親子連れもいる!
どんな客層を想像してたんだって感じですが。吹奏楽オタクばっかりだと思ってた。
ちなみに筆者がfm*の演奏会に行きたい理由は
1.純粋にfm*の演奏が聴きたい
2.アマチュアのファンファーレオルケストの演奏が聴きたい
3.プログラムが欲しい(レイアウトの勉強の参考にするサンプルが欲しい)
4.丘の上の白鳥が聴きたい
の4つでしたが、どの希望もとても良い形で満たすことができました。
プログラム
ラコッツィ行進曲/E.ベルリオーズ, 岩本伸一 編
ジャズ組曲第2番(舞台管弦楽のための組曲)より
Ⅰ.「行進曲」Ⅱ.「第1ダンス」Ⅶ.「第2ワルツ」/D.ショスタコーヴィチ, 岩本伸一 編
亡き王女のためのパヴァーヌ/M.ラヴェル, 岩本伸一 編
幻想序曲「ロメオとジュリエット」/P.I.チャイコフスキー, 岩本伸一 編
-30分休憩-
幕間演奏
イントロデューシング・ザ・ファンファーレ・バンド/B.フレイザー
丘の上の白鳥/J.ヴァンデルロースト
管楽器のためのアダージョ/J.ヴァンデルロースト
ペンタグラム/J.デメイ
ヴァリエーションズ-パリ、1846/P.スパーク
-アンコール-
アルセナール/J.ヴァンデルロースト
第1部
第1部は管弦楽曲のファンファーレアレンジ。
楽譜はすべて、洗足ファンファーレオルケストの過去の演奏会で使用された編曲作品だそう。
1曲目「ラコッツィ行進曲」は、ファンファーレオルケストの編成と管弦楽曲の相性の良さを見せつけるような優雅な演奏。
ファンファーレ編成が管弦楽と相性がいいというのは、この第1部通してずっと感じていました。
サクソフォンセクションがすごく…すごくいい仕事するんですよね。
ファンファーレオルケスト、サックス吹きにこそ聴いてほしいなあ。
2曲目「ジャズ組曲第2番」は個人的にも好きな曲の1つなのですが、それを抜きにしても激しく楽しさが伝わってきました。
演奏メンバーがノリノリで吹いているのが演奏に乗っかってくるのを感じました(個人の感想です)
ジャズ組曲絶対みんな好きだなと思いました。絶対超楽しんで演奏してたよ。めっちゃ楽しかったもん。
3曲目「パヴァーヌ」といい、4曲目「ロメオとジュリエット」といい、それぞれが相当難しいと思われる(それこそ吹奏楽部がコンクールに向けて夏までの時間全部割いて練習するような)作品を、よくもまあ、こなせるなと…
楽曲そのものの魅力と、ファンファーレオルケストの響きの魅力がちゃんと伝わってくる、良いプログラムを聴くことができました。
皆楽器吹くの好きというか合奏するの大好きなんだな、生半可な気持ちじゃこんなプログラム吹き切れない。
幕間演奏~第2部~アンコール
休憩30分の真ん中約10分間は楽器紹介。
“Introducing the Fanfare Band”という、ファンファーレ編成のための楽器紹介曲があるんですね。
プログラムに挟み込まれた絵と解説テキストとともに、見て聴きながら楽器のことを知れるように工夫してあったのがnice。
幕間演奏から若干時間を置いて、第2部ーファンファーレオルケストオリジナルステージーがスタート。
1曲目は「丘の上の白鳥」、
この曲は吹奏楽編成にも編曲されているのですが、ファンファーレどころか吹奏楽の演奏会でも中々聴けない作品なので、大阪行きを決めるまで
「あああ聴きたい!白鳥!!ファンファーレ版白鳥!!聴きたいけど金がない!!」
と頭を掻きむしっていた筆者。
演奏会のメインになるような大曲とかではないんですけどね全然…拗らせオタクだから…
解説でもあったように絶妙な難しさのある曲ではあったと思いますが、この曲を取り上げてくださったことが、もう本当すごく嬉しかった。
2曲目「管楽器のアダージョ」、
『「誰かを思い出しながら、その人との素晴らしい思い出を噛みしめるように演奏してほしい」と、作曲者のヴァンデルローストは述べている。』とプログラムノートにありました。
この「アダージョ」は、静かで穏やかな曲調こそ、同作曲者の「カンタベリーコラール」にも似ているのですが、教会ー生者の手の届かないところーを舞台にした「カンタベリー」に対し、「アダージョ」はもっと私たちのすぐ近くにある感じだなあと。
きっとステージの一人ひとりも「素晴らしい思い出を噛みしめるように演奏して」いたのでしょうか。
思わず涙もにじむ演奏。
次の「ペンタグラム」との気持ちの切り替えがしんどかった。
3曲目「ペンタグラム」も、ナイス選曲。面白かった。
演奏会前に一応予習として聴いてきてはいたのだけれど、プログラムノートを読んで曲の構成を知ってから聴くと、色々なことに気付けて面白いですね。「五芒星の一筆書きのように第1場面が戻ってくる」とか、自力じゃ気付けない…
プログラム最後、メインの「ヴァリエーションズ-パリ、1846」、気合の入れ方が全く違うのが聴いていても伝わってきました。
他のどの曲の演奏も素晴らしかったけれど、「ヴァリパリ」は練習量、そして思い入れが違う、絶対違う。
変奏3の場面で1回目の気持ちのピークが来て、「ああ、この場面特に楽しんで演奏しているな」と感じたのと、
曲のクライマックスで吹き手の大きな感情の波を感じて、
メンバーの「ヴァリパリが好き、fm*で演奏するヴァリパリが大好き」という気持ちが物凄く伝わってきて、ぐっっ、とその波に飲み込まれるようでした。
あたたかくて幸せな演奏で、本当に素晴らしい演奏だったな…。
アンコールは、fm*恒例の「アルセナール」。
前からfm*のサイトを見てアンコールでアルセナールをやることは知っていたのですが、いざ1つの(自作自演でもない)演奏会でヴァンデルローストの曲を3つも演奏されるとうろたえるものですね…。
ヴァリパリの後によくこんな演奏できるな!という、とってもパワフルなアルセナールでした。楽しかった。
本記事の中でもずーっと繰り返してきたのですが、とにかく演奏者側の「楽しい!!」に、いい意味でどんどん巻き込まれていくような演奏会でした。
これはアマチュアの演奏会で時々感じることなのだけど、演奏者の「楽しい!!」っていう思いが真っ直ぐぶつかってきて、その衝撃波にやられるというか、「共鳴してる(させられてる)な~」ということがあります。
プロの演奏会だとなかなかそうもいかなくて、筆者の場合は、こちら(聴き手側)の「無理無理すごい尊いしんどい」的感情が爆発して演奏側の感情まで受け止められないのです。
筆者としてはどちらにせよ気持ちは高ぶってるのでいいのですが、聴き手として演奏者と感情を共有できている(ような気持ちになる)のはやっぱり嬉しいし、「共有できてる感」によって一層感情が高ぶっていくようで、特に今回の演奏会ではものすごい幸福感に襲われていました。
次の日もずっと幸せに浸っているような感じで、何か薬でもキメたんじゃないかと思った(キメてません)。
本当にめちゃめちゃ楽しかったので来年も行きたい、行くんじゃないかな?
来年の今頃は就職して働いているけど、頑張って貯金して何が何でも休みを確保して聴きに行くと思います。
楽しみにしています。