【感想】ぱんだウインドオーケストラ わくわくブラス! at横浜音祭り2019

わくわくブラス!ポスター

後半の部

公募参加者へインタビュー

後半の部の演奏を始める前に、公募参加者お2人へのインタビューがありました。

1人目は「やったことある部門」のファゴット奏者の方。

「去年の『わくブラ』を聴いたことがきっかけで、もともと『自分も楽器をはじめたい』と思っていた気持ちが強くなり、今年から楽器をはじめました。ステージ上で合奏に参加するのは初めてです」
「ぱんだウインドのファゴット隊の動画をYouTubeで見て、音色と楽器のフォルムに惹かれてファゴットを選びました」
「公募に当選したとき、音楽教室の先輩から借りていた楽器を買い取ろうとしたら、『数年間倉庫に眠っていた楽器だから』と譲り受けました。先輩がそのまた先輩から譲り受けたという楽器で、私が3代目の持ち主です」

 

2人目は「腕自慢部門」のオーボエ奏者の方。(どっちもダブルリードだったな)

「私生活で辛いことが重なっていたが、『わくブラ』の公募を応募締切前日に(!)見つけ、『自分で運を呼び込みたい、一歩を踏み出したい』と、オーディション参加を決意しました」
「サックス吹きの夫に背中を押してもらい、音楽をやっている職場の同僚に模擬オーディションをやってもらいました」
「オーディションに受かったのは私だけど、周りの人のおかげでここに来られました」

私がこうやってブログに書くのと、本人の口から言葉を聴くのとでは全然違うのですが、
お2人とも楽器や演奏歴は違えど、言葉の端々から、それぞれに強い思いをもって合奏に参加しているのが伝わってきます。

 

横浜音祭り序曲

後半の部では、ゲスト指揮者・ヴァンデルロースト氏登場!
2013年、横浜音祭り初開催時に作曲した「横浜音祭り序曲」を自ら指揮。

横浜音祭りは2013年の初開催以来、3年に一度開催されており、今年で3回目。
横浜音祭り序曲も音祭りのたびに演奏されて、3度目の任務を果たすことができました。
3年後の2022年もそれ以降もこうやって演奏されてほしい、そのために音祭りも末永く続いてほしい!
という思いを感じながら聴きました。
「演奏されるべき場所で演奏されている」というフィット感がありました。

そういえば「XX周年記念作品!世界初演!」みたいな作品ってたくさんあるけれど、
「横音」のような定期的に開催されるイベントのために作られて、
数年後も繰り返し繰り返し演奏される吹奏楽作品って珍しいかも。
ヨコオト、ほんっとオマエ…永遠に続いてくれ…(わかったわかった愛が重い)

演奏後のMCで、プロとアマチュアがともに演奏する「わくブラ」の感想を求められたヴァンデルロースト氏は、
「素晴らしいプロジェクトです。音楽はプロだけのものでも、アマチュアだけのものでもなく、また若い人たちだけのものでも、大人たちだけのものでもありませんから…」と返答。(通訳では「アマチュア~」以降が略された…)

「横浜音祭り序曲」の作曲のねらいについても解説。
(以下、本人の英語と通訳についてのわずかな記憶から執筆した不正確な記述)

「この曲は3つの場面からなります。
1つ目は『単独でも演奏できるように』という、委嘱者の要望に応えたファンファーレです。
2つ目は『シティ・オブ・ローズ』横浜市の、素晴らしい建造物や港町の美しさを表現した、静かでゆったりとした部分です。
3つ目はビジネスやアミューズメントで忙しくにぎわう様子を表現しています。」

 

カンタベリー・コラール

引き続きヴァンデルロースト氏の指揮で「カンタベリー・コラール」の演奏。
過去に大阪市音楽団の演奏会などでも披露された「オルガン付」の特別編成!

「カンタベリー~」については、もう語る語彙を持っていないです。
尊い。神さま。

大聖堂の美しさを題材にした作品なので、聴き手も息をのむというか、
一定の緊張感を求められる作品で、
その中で聴いているうちにグッッと熱いものがこみあげてきて、
オルガンの音色がふわあっと飛び出して被さってきて…!

素晴らしかったなあ、美しかったなあ。
公募で参加した奏者の方たち、すごい経験をしただろうなあ。

 

交響詩「アルプスの詩」

演奏会のメインにして最後の曲は、チェザリーニの名作「アルプスの詩」。
演奏前に、指揮者・横山氏から作品解説。
「作曲者が生まれ育ったアルプスの情景を描いた作品ですが、
風景をそのまま音楽にしたというよりは、アルプスで生活した作曲者自身の心象風景を描いたような作品です」

今回の「わくブラ」でこの曲をメインにした理由を問われると
「『やったことある部門』の方にとっては正直かなり難易度が高いが、
曲の最後で連符などハイレベルな技巧を求められず、みんなで気持ちよく終われる作品だから」
とのこと。

確かに、「アルプスの詩」ってスクールバンドでも取り上げられる頻度が高いので忘れられがちだけど、
めちゃめちゃ難しいんですよね…?
しかもコンクールみたいに制限時間がないのでフル演奏(当たり前だ)。

「え、そんなのやらせるの?かなりしんどいんじゃないか?」と心配になりましたが、
流石ぱんだウインドと、ぱんだと数か月練習してきた皆さん。
とてもとてもかっこよかった。

演奏前に「心象風景を描いた…」という説明もあったように、
見事にチェザリーニの心の中のアルプスを描き切った演奏でした。

「アルプスの詩」に限らず、チェザリーニって独自の世界観感じませんか?
楽章のタイトルからして「チェザリーニ世界」だなあ、といつも思います。(まだ言う)

 

アンコール

アルセナール

アンコール1曲目は、司会の竹平氏も再び大きなネックレス…じゃない、
アルトサックスをもって演奏に参加。
横山氏が舞台袖に下がり、ヴァンデルロースト氏が指揮台に上がりました。
勢いよく指揮棒を振り下ろすと、奏でられるのはお馴染み「アルセナール」。

アンコールではオルガン奏者ももう一度オルガン前に座っていたのですが、
「あれ!?オルガン入ってる!!」と途中で気付く筆者。

荒ぶる筆者の脳内↓
「オルガン付き…?大阪音大…で去年聴いたのはマーキュリーだな…
アルセナール?アルセナールでオルガン入ってたことあったっけ??世界初演??」

あまり演奏を聴くのに集中できず申し訳なかった。
でも初めて聴いたアルセナール自作自演とてもかっこよかったです。

 

PANDASTIC!!

コンサートの締めは、前久保氏により作曲された、ぱんだウインドのテーマソング。
テーマソングを持っているバンドってかっこいいですね!!
スピード感のある、軽やかなコンサートマーチで駆け抜けました。
指揮の横山氏も奏者の皆さんも、演奏していて本当に楽しそうでした。

 

まとめ、雑記

「ヴァンデルロースト目当てだし…」とか思っててごめんなさい!
ぱんだウインドの演奏、とてもかっこよかったし、
「わくわくブラス!」というプロジェクトの趣旨もとても素敵だったし、
プログラムの曲目もよく練られているなあと感動しきりでした。

次の演奏会…いつだろう…(行く気満々)

 

そして会場を出るなり

アルセナールのことが気になって仕方がない筆者。

翌日、Twitterで「アルセナール」を検索すると

竹平さんんんんん!!!!!

まじか!!!
貴重な現場に居合わせたもんだ!!

 

今回同行してくれた母に感想を聞くと、
「楽しかった!ローストさんかっこよかった!」と喜んでいたので(“ローストさん”にはもうツッコまないことにしている)、
こちらも「でしょお?」と、思わず得意気な顔になります。

私が高校1年生の時、東京佼成の演奏会に行って以来プロの吹奏楽の演奏には触れてこなかった母。

「せっかくだから吹奏楽曲ばっかりのプログラムも聴いてみたかった」
と言っており、
これから演奏会に連れ出す回数が増えるかもしれません。

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花月こころ

ベルギー近現代音楽が主な狩場。最推しはヴァンデルローストとポール・ジルソン。ブラスバンドでコルネット。

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