【感想】シエナウインドオーケストラ第48回定期演奏会

シエナウインドオーケストラ
第48回定期演奏会@文京シビックホール
2019/6/15(土)17:30-19:40
指揮 原田慶太楼

3/10響宴以来の文京シビックへ。雨が降っていたので楽器を持っていくのはやめる。
文京シビックのクロークで傘の預かりはお断りしているらしいので、雨の日は折り畳み傘推奨です。

学生割引でB席3500を購入。学割きく方はガンガン学割使っていくべきだと思います。1階の後ろの方の席へ。若干空席が多く見られる。

演奏前MCは挾間美帆氏。
「いつもは指揮者や演奏者がお話しするところですが、『こんな大変なプログラムの前に話したくない!』ということで、私が司会を務めます!」というお話。挾間氏自身も、この日の演奏会をとても楽しみにしているようでした。

イーストバウンド/オリヴァー・ヴェースピ

Eastbound/Oliver Waespi
第一印象は、「ヨーロッパの今時シンフォニックバンド作品」!ハイハットが軽快にリズムを刻むポップス風味。劇伴っぽさもあり。途中ブルース調の場面が挟まれていたりしました。サックス→ホルン→ペットのソロリレーがかっこ良かった。
チェロありの編成。オーケストレーションの美しさが全面に表れていました。

寿-KOTOBUKI- /福田洋介

-KOTOBUKI-/Fukuda Yosuke
「風之舞」様の福田的和風サウンド全開。
全体としては、「越天楽今様・祭囃子」→「南部俵積み歌」→「黒田節」→「木遣り・三本締め・獅子舞囃子」の日本音楽四部構成。
南部俵積み唄のトランペットがかっこ良かった。テューバソロが気持ち良さそう。
「木遣り」のユーフォソロの後、木管ートランペットあたりのサウンドががぶわあああって聴こえてきて、ヘテロフォニーの力強さに圧倒されました。

ビーティング・ビーツ/ヤン・ヴァンデルロースト

Beating Beats/Jan Van der Roost
「スコアはずっと4拍子なのに違う拍子が聞こえる、というかどこで拍子とるのかわからん」という混乱状態にさせることを意図した曲。
聴き終えたあと、「ようまあ遊んだなあ!」と脳内で叫びました。 ヴァンデルロースト作品としては珍しく(?)頭から尾の先まで楽しげな曲調。全体の響きは紛れもなくヴァンデルローストなのだけれど、「何か面白そうなことやってやがる」感は、同作曲者の作品の中だと「ナマセラプソディ(Namase Rhapsody)」に近いものがあるかも。
個人的にはルロイ・アンダーソンっぽい可笑しさ・面白さも感じました。

イモータル・アンセム/清水大輔

Immortal Anthem/Shimizu Daisuke
ひたすら美。分かりやすい・キレイ・楽しい、物語を感じるとてもいい曲。ピアノ・ハープがかっこ良かった。中学生の私に聴かせたら泣いて喜ぶと思う。
コンクールなどで演奏される作品の中だと「オーソドックス」の部類に入ると思うのですが、今日の顔触れの中だとそれさえ個性でした。周りが相当攻めすぎ。

ダヴィンチ/ヨハン・デメイ

DA VINCI/Johan de Meij
今回のルネサンス時代その①。和音・ハーモニーの音楽。全体を通して…特にリコーダーの伴奏に…オルガンみの響きを感じました。
連符の繰り返しで1つずつ音が増えてくところ?(タララララッ、タラララララッ、…)があって、途中で気付いて数えていました。「DA VINCI」という標題は付けてあれど、絶対音楽ぽさがあって、聴いていてワクワクする、楽しい作品でした。

じゆびれいしよん/中橋愛生

Jubilate/Nakahashi Yoshio
プログラム解説からして中橋節が出ていましたが、聴いたら何となく云わんとしているところがわかるような。こういう作品大好きな層ありそうだし私も好き。
「日本の伝統的な音階・和声で奏でられる西洋の祝典序曲」ということだそう。構成・進行はOvertureそのものなのに、音が和風。面白いなあと、ニヤニヤしながら聴きました。こういう曲が聴けると、吹奏楽好きで良かったなあと思います。
6/14タッド→6/15シエナで高山・江戸・寿・じゆびれいしよん、と和風曲を続けて聴いてるけど、一口に和風といえども本当に解釈・表現は無限大だなあと思わされました。

VARIATIONS ON A FOURTH/フィリップ・スパーク

VARIATIONS ON A FOURTH/Philip Sparke
終始「スパークの序曲」でした。「スパークの序曲」以上の説明がほとんど思い浮かばず、我ながらとても情けないのですが…。
直前のジャポネスクな中橋作品から一気にドライな響きになって、その差にはっとさせられました。いつものきりっとした楽しいスパーク作品でした。途中でワルツが出てきたところ、好きです。

ザ・タイグレス/挾間美帆

The Tigress/Hazama Miho
実は挾間作品を聴いたのは、この日が初めてでした。本日のルネサンス時代その②。聴きながらパッと思い付いたキャッチコピーは「カット無しでこんなにかっこいい曲が吹ける!!」
個人的にはジョンマッキーっぽいサウンドを感じました。何度も聴き込みたくなる音楽で、冬リリースのCDはこの曲を目当てに買おうと思います。
チラシに掲載されていた挾間さんの写真から、「めちゃくちゃ強そうだなこの人」というイメージを勝手に作っていたのですが、とても愛らしい口調でお話しされる方でした。でも曲は強い!

それぞれの作品の演奏後には来場していた作曲家が登壇、原田氏と握手。特にヴェースピ氏と清水氏がとても感激した様子で嬉しそうにしていて、微笑ましく(?)見ていました。
私もシエナに曲演奏してもらったらめちゃくちゃ嬉しいだろうし多分泣くだろうな…演奏してもらえる曲を作る知識も技量も予定もないですが…。

アンコール「陽はまた昇る」

コンクールなどで一部を耳にすることはあっても、生演奏をちゃんと聴いたのは今回が初めてな気がします。初めて聴く生演奏がシエナで良かった。今回の委嘱の中にコラール系作品無かったので、プログラム構成としてもハマっていました。とても粋な選曲。
そうそう「陽はまた昇る」のとき!マエストロが動くまで、最後の音がなくなっても静寂が続いてることにとても感動しました。オーケストラと観客の一体感が素晴らしかったです。

アンコール「星条旗よ永遠なれ」

雨が降っているからと楽器持ってこなかったのを後悔しました!中橋先生と挾間先生のMCの前を通れたのに!スパークとヴェースピがタンバリン叩いてる前で吹けたのに!! 客席で手拍子参加しました…。
きっとシエナに限らず星条旗で手拍子が起こることは多いと思うのですが、星条旗の手拍子って、trioで皆ちゃんと音量落とすし、フィナーレで速度落とすし、アイドルのコンサートの作法みたいですごいな!と改めて思いました。さすがファンの集まり。

まとめ

作品のオーケストレーションが整ってるのか、マエストロ原田の技量ゆえなのか、プレイヤーの技量なのか、多分この内の全部なんだけど、8曲ともとても聴きやすくて耳にスッと入ってきました。(演奏時間が短くて私の集中力でも切れなかったというのもあるのでしょうが)

となりの席に座っていた高校生くらいの女の子二人が「この作曲家生きてたんだ…!私たちが生きてるこの世界でこんなすごい曲作れるんだ!」という会話が聞こえてきてフフフ😊とにやついていました。怪しくてごめんなさい。
面識もない二人にいきなり「今日チェザリーニも聴きに来てますよ~」と声をかけてしまったのが今回の反省点。お節介おじさんに着実に近づいてしまっている。

花月こころ

ベルギー近現代音楽が主な狩場。最推しはヴァンデルローストとポール・ジルソン。ブラスバンドでコルネット。

シェアする